苺宇宙交信日記

宇宙と交わった日々の記し

恋人

朝、フレンチトーストの匂いで目が覚めることは幸福か

夜、バニラ香るベッドシーツで眠りにつくことは幸福か

 

あなたの世界の真実はあなただけが知っているのだなあと思うまいにち

どなたも見たことのない世界を、あなたは知っているのです

 

✴︎

 

恋人、っていう言葉の響き、すごく綺麗ですよね

恋人の定義を調べると

「恋の思いをよせる相手」「相思相愛の関係であること」

「一生大切にしたい、一生ともに歩んでいきたいとお互いに思っている相手」

とありました。

そしてさらに、

「彼氏・彼女は、現在交際している相手のこと。将来を考える相手の意味は含まれない」

と続いていました。

 

 

こんな意味合いが含まれていたなんて

言葉ってうつくしいな。

 

シロップをかけ、バターと、おまけにアイスをのせたフレンチトーストを食べたい

バニラの香りに包まれながら

 

 

 

無傷

奪われた気がした。もう、何度目か。

 

私の大切な言葉を、さも自分だけの大切かのように扱わないで。そう思った。

 

言葉は万人が所有者である。

それでも、どうして私の美学を当然の様に、平然と、奪ってしまえるのだろう、そう思わずには居られなかった。これは傲慢じゃない。

 

私の放った言葉を一言一句奪われ、他者の言葉として発信されることが

私にとって、自分そのものを引き裂かれるくらいの苦痛であるのに。

 

誰が偽物で誰が本物かなんて、そんなものは無い。

本質の違いは存在しているが、魂に優劣はない。

誰にも、何にも、搾取されてはいけない。奪われない。

私は何処へも行かずただじっと、元からそこに在ったように、証するだけ

 

 

「肉体と肉体の接触は混沌を絶えず生むが、魂と魂の接触は絶えず調和をうみだす」

ルソーはすごい。

 

混沌が生まれるうちは所詮肉体同士の付き合いなのだろうか

 

 

行いは全て、己にかえる

 

 

美しい朝日をのむことの出来る幸せを忘れずに生きていきたい

幸せは無傷のまま、私をみる

 

 

水無月

朝日が差し込む リボンのかがやきは何時までも消えない

 

何時までも女を讃える。女にしかみることの出来ない天国をみたか。

女であることは 真っ当に美しい

 

 

完全に救われてしまうということは無くとも

ふと宙に浮いたように、苦しみからぱっと離れる日はやってくる

 

なにもなく、きれいに澄んでいる時間をのむことが出来るだろう

 

 

梅酒をつくるために 瓶のなかで泣く氷砂糖たち

梅雨があけたら きっと すべて透きとおる

 

木陰で初夏をあおる風が たとえいつか

なにものにもならなくとも わたしをゆるす

 

 

人魚の肉

私は3年に一度、人魚の肉を吐く

 

薄ピンクの肉塊を吐き出す

 

それはとつぜんに くる

ウッと吐き出すと、そこには人魚の肉があった

 

おそるおそる触ってみると やわらかい

暫くシンクに居たそれは

何時の間にか消えた

 

きっと 海にかえった

 

✴︎

 

実際、

人魚の肉なんて有り得ないのですが

私は初めてその現象が起こったとき、

人魚の肉みたいだと ふと思いました

 

ついこの間また 3年程の月日ぶりに

人魚の肉を吐いたから

この話を書きました

 

 

自分の肉体はずっと何かがおかしい気がする

 

 

硝子

だれしもがひそやかに傷をもっている

 

だからひとはときどき美しい

 

透明なものなんて

わかりやすくうつくしくて

繊細なことなど

誰しもがわかっているのに

 

それでも痛む

そういうものなのだ

 

いまきみを救うものが正論じゃなくたってそれで良い

 

 

連日、精神が私の肉体をやたら置いてけぼりにする日々で参っていますが

私に宿る光を見失わず、生きます

 

大丈夫。

あなたも

 

 

真昼の月

そよ風が心地よいのは、きっとあのこが私を撫でてくれているからだと思う

 

✴︎

 

発熱していると世界が浮いてみえて、肉体が精神を追い越してゆく。

ハイになった精神は肉体を統治できずに、そこには空白だけが募る

 

肉体の現れ方は本当に精神的で、精神の現れ方もまた肉体的だ。

 

熱を出すとそういうことを何時もより考える。

 

時折真昼の月の様に、境目がわからなくなる。

私は意識なのか肉体なのか。

期限が来れば肉体は死を迎えるが、魂は滅びない。魂こそが本質だ。

物心がついた頃には既にぼんやりそう思ってここまで生きているが

こう、病に肉体が侵されていると、そうは思えない瞬間がやってくるのである。

 

はやく薔薇園に行きたい。

麗しい薔薇の香りを嗅ぎ、疲弊した精神を芯から癒してあげなければ…

 

リルケってつくづく、ロマンチックな人だ。